昔々あるところに、くすみひとつない真っ白の鎧に一振りの大剣を持つ、古代聖騎士型デジモンがいた。
彼――デジモンに性別という概念はないが、便宜上――の名はインペリアルドラモン:パラディンモード。インペリアルドラモンは、この世界を支配せんと企むバグラ軍と日夜戦い続ける、勇敢で正義感に溢れたデジモンであった。彼は少し前まで各地で極悪非道の限りを尽くすバグラ軍を追って様々なゾーンを旅していたが、今はアイスゾーンと呼ばれる辺境の地に暮らしている。アイスゾーンというのはその名のとおり氷と雪とに覆われた土地で、寒い場所を好むデジモンたちのすみかであった。
今までいくつものゾーンを渡り歩き、数々の武勲を立ててきたインペリアルドラモンがこの地に留まり続ける理由は、雪のようにまっ白い体にふわふわの体毛――このアイスゾーンに数多く生息するユキミボタモンたちであった。インペリアルドラモンは正義の戦士であったので、そのかわいらしい見た目どおり戦闘能力に乏しい彼らを放っておくわけにはいかなかったのだ。辺境の地とはいえ、いつここにもコードクラウン目当てにバグラ軍が攻めてくるかもわからなかった。
とはいえ、インペリアルドラモンはアイスゾーンに永住するつもりなどなかった。いつかまた旅に出て、バグラ軍の支配から皆を解放するという夢があった。ゾーンの境界で見張りを続けても見えてくるのは水平線ばかりで、バグラ軍が侵攻して来る気配など微塵もない。そんな暮らしが続けば、体も、ユキミボタモンたちを守るという決心も鈍ってくるものである。
そんな時耳にしたのが「ジェネラル」と呼ばれる人間の噂である。なんでも、ジェネラルの持つクロスローダーとやらの力を使えば強大な力を手にすることができる上に、たくさんのデジモンを連れてゾーンの間を渡り歩けるというではないか。それなら自分だってまた旅ができるし、ユキミボタモンたちも自分と一緒にいれば安心に違いなかった。
しかし、ここでインペリアルドラモンは根本的な問題に気が付いた。
まずジェネラルとはどこにいるのか?
2019/08/27